p.2 音楽って何だろう?
山田うん

音楽とは、風の形をしたもう一つの人間の姿である。

山田うん 振付家・ダンサー
器械体操、バレエ、舞踏などをベースにした独特なダンススタイルで、1996年から振付家、ダンサーとして世界各地で活動している。2000年横浜ダンスコレクション・ソロ×デュオコンペティションにおいて「若手振付家のための在日フランス大使館賞」を受賞しフランスへ渡る。2002年ダンスカンパニー“Co.山田うん”設立。日本を代表するコンテンポラリーダンスのカンパニーとして、意欲的に舞台作品を発表し、国内外で注目されている。音楽、美術、文学、学術、伝統芸能、ファッション、レストランなど異分野との斬新なパフォーマンスを制作するほか、オペラやミュージカル、新体操選手への振り付け、演劇の演出なども行う。また、アジアや中東の国立芸術大学や国立劇場、ダンス教育機関に招かれ、作品の振り付けを行うなど世界の第一線で活躍するプロダンサーや俳優の育成にも貢献している。第8回日本ダンスフォーラム大賞、平成 28 年度文化庁文化交流使 として 11 カ国 23 都市を訪問。

【本人による解説】
 音楽は人間の中から生まれるもの。涙のように、笑みのように、体から湧き上がり、体から離れていくもの。風に乗って運ばれていくもの。と同時に、そこにしかないもの。生まれたらすぐに消えてしまうもの。悲しみ、喜び、怒り、嘆き、あらゆる感情が浄化して出来上がった色。光のような色。影のような色。過去にも現在にも未来にも縛られず、しかし同時に圧倒的に過去であり、現在であり、未来でもある。時間の寄り道である。寄り道は人間が作る道。私たちの心と体と頭、つまり精神と肉体と知性の結晶で作る道。それは人間のあらゆる熱量の結晶。目に見えない私たちの姿そのもの。